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東京ディズニーランドの驚くべき離脱防止策とは?

どうも!買い物中毒のファション通販アドバイザーの野田(@KURUZE)です。お買い物してますか?

悔しいかな、ボクにはマーケターとして絶対に超えられない壁が存在しています。

しかもそれは人間ではない。にも関わらず、人間であるボクよりも圧倒的に金儲けの術を心得ており、その手法は「魔法」とまで呼ばれるに至った伝説のマーケターである。

その名もミッキーマウス。

ボクもマーケターの端くれ。たとえ人間としてのプライドを捨てたとしてもミッキ-師匠が生み出した錬金術の仕組みに触れることで何か得られるものがあるかもしれないと思うに至り、重すぎる腰をあげて約20年ぶりにお膝元である東京ディズニーランドへ向かうことにしました。

しかし東京ディズニーランドは世界有数の浮つきスポット。クリスマスやハロウィンなど、浮ついた街の空気感ですら生存できないアウトロー体質のボクにとって長時間の滞在は危険。そこで18時からのチケット、通称アフター6で入るという対策を立案。もちろん師匠が作り上げた仕組みの一端を垣間見ることができる名書「ミッキーマウスの憂鬱」も読み直して万全の体制だ。

 

考え抜かれた仕組みが随所にお出迎え

まず18時直前に駐車場につくと、朝からだろうが夕方からだろうが問答無用に2,500円回収されます。なるほど周辺相場の倍以上の価格でお出迎え。それでも車列が切れないのだから魔法の威力は絶大だ。

Cola

車を停めて入り口へ向かう途中、目に飛び込んできたのは自動販売機。その多くが東京ディズニーランド35周年仕様のパッケージに変更されており、500ml だろうが 350ml だろうがすべてが200円と夢の国相場に引き上げられている。

Irohasu

驚くことには「いろはす」すらコーラと肩を並べて200円へと昇格。おそらく「見た目や中身で差別はいけないよ!」という師匠のメッセージが込められているのだろう。自販機でも It’s a Small World を体現する、なんというセンス!!!

そしてボクがすぐに確認したかったことがある。それは師匠の施策の中でも今や逸話となっている「トイレの鏡」についてだ。人は鏡を見ることで現実に戻ってしまうのでこの夢の国では鏡がないと聞いていたが、本当に鏡がないのだ!

Restoroom

まだ園内に入る前にも関わらずの徹底ぶり。いや正確に言うと洗面台に向き合った時、背中側にはあるのだが通常あるはずの洗面台の上には鏡がないという普段見慣れない光景が本当に存在した。バーの窓やキャバクラでのトイレの出待ちなど、手法は違えど「現実に戻さない」仕組みを師匠も導入していたのである。いやはや恐れ入った。まだ園内に入る前にも関わらず驚きの連続だ。

他のネズミたちと同様に台所の下や屋根裏といったうす暗い中で残飯を漁っていた幼少期。そんな過酷な体験があるからこそトイレの鏡1枚にすらこだわり抜くという、たくましい商魂が養われたのではないか?

そんな妄想を膨らませながら、あるくこと10分。ついに入場門へとたどり着いた。

入場料は4,200円。これを安いと見るか高いとみるかは人次第なのだろうが、我れ先にとチケット購入カウンターへ殺到させる熱狂がそこにはあった。

園内に足を踏み入れるとワールドバザールというショップが立ち並ぶエリアがゲストを待ち構えています。ここを抜けるとシンデレラ城があるのですが、廻廊のようなこのエリアをくぐり抜けて始めてメインのお城が現れます。

Shiro

このいきなりメインを見せないでもったいぶる。具体的には数々のお店を尻目に一歩ずつ歩を進めることで徐々にシンデレラ城の全容が姿を表してくるわけなのですが、このワクワク感を煽るパーク設計にすることで客単価が上がるということを師匠は熟知しているのだ。これは百貨店などでも地下通路からでなく正面入口から入ったお客さんの方が単価が上がると何かで読んだが、ぜひ参考にしたいテクニックの1つだ。

 

東京ディズニーランドの驚くべき離脱防止策とは?

またボクが関心したのはゲストをお出迎えしつつも、きっちりとスポンサーの顔も立てている点だ。各アトラクションにはスポンサーの看板を併設し、メインイベントであるパレードの最後を飾る台車はスポンサー名だけという念の入れようだ。ゲストだけでなくスポンサーをも夢気分にさせる、そこに抜かりはない。

Sponsar

Paleda

そしてパレードが終わると出口へ向かうゲストが増えるわけだが、離脱防止のために師匠がどんな手を打つのか気になったボクはこの流れに乗ることにした。

シンデレラ城の裏側からパレードの後を追いお城正面へ。そしてパレードが終了を迎えると、ゲストたちは一斉にワールドバザールを抜けて出口へ向かうのだが、ここで師匠は「プロジェクションマッピング」を発動させる。ワールドバザール内の店の壁に映し出されるディズニー作品をモチーフにした映像と音楽。

Projection

帰りの交通機関が混むのを避けるために足早に出口へ向かっていたゲストたちは、夢の続きを楽しもうとその足を止めるのである。そしてプロジェクションマッピングが終わったとき、目の前に現れるのは「お土産屋」だ。なんと考えられた仕組み!自然な文脈で押し付けがましくない誘導が図られている、これには本気で感動してしまった。

そして園内を後にしたボクは、他のゲストと同じ行動をしてみようと舞浜駅に向かった。ボクの見立てでは、必ずお土産やさんがあるはずだ。

ディズニーミュージックが流れる陸橋を駅方面に向かうと、やはりそこにはお土産屋さんがありました。一度園内を離脱したゲストに対しても再度「お土産はどうですか?」と提案する。まさにカゴ落ち配信そのものである。

Niku

そして店内で見つけたのがこのキーホルダー。ただのエグい肉の塊すら師匠の魔法にかかればかわいいキーホルダーに早変わり。

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もはやこのキーホルダーなんて「君はボクにいくら出してくれるの?」と迫られているかのようなスゴみさえ感じる。さすが師匠、柔と剛の使い分けが絶妙だ。

こうして、ボクの久しぶりの東京ディズニーランド体験は幕を下ろした。

ゲストの夢や希望を叶えるだけではなく売上確保のための緻密な計算が幾重にも張り巡らされている。老若男女はもちろん、こんなクズなボクですら感動を覚えてしまう仕掛けの数々。

「ディズニーランドなんて!」と毛嫌いしている男子諸君、気持ちはわかる。でも師匠が施した仕組みを紐解きにいくのはどうだろう? 研修費用と考えれば4,200円なんて激安だし、少なくともボクにはそれ以上の価値があった。忙しい師匠に直接稽古をつけてもらうことはできなくとも、こうして師匠の意図を探っていくことで自分がレベルアップしていくことはできるはず。

また実践で成長を遂げ、いつかまた隠された仕掛けの解析に挑みたいものだ。