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「この人から買いたい」という想いの連携こそが理想のオムニチャネル

どうも!買い物中毒のファション通販アドバイザーの野田(@KURUZE)です。お買い物してますか?

ここ最近、異業種の方とお友だちになる機会が増えて「ファッション通販アドバイザーって具体的にどんなことしてるの?」ってよく聞かれます。

いつもは「通販サイトの売上に困っているファッション・ブランドやデベロッパーさんの売上を改善することだよ」と全然具体的ではないザックリした内容でしか答えられていないのですが、今進めているプロジェクトについて先日の繊研新聞とWWDで具体的な取り組みとして掲載していただいたので、ボクに変わってご説明してもらいます(笑)。

まずは繊研新聞の記事から。

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タイトル画像:繊研plus

シブヤ109ネットショップを秋に再編

「109という舘を表現して、これまでにない独自のECサイト作りに挑む。情報が得られて商品が買えるオムニチャネルを創造する」ー東急モールズデベロップメント(TMD)は「シブヤ109ネットショップ」を今秋に再編する。改編の軸は「ECと舘・テナント情報発信の統合」と「テナントとの在庫連携」。メディア機能を充実し、EC在庫を手厚く持ち、リアルとネット双方で109ユーザーへのサービスを拡大する

今回のネット再編は、商業施設が今後成長する上でECが重要な役割を担うとみて再強化するもの。15年10月にブランド統括部を新設し、既存ECとは別組織を作って、リアルの舘の魅力をネットで表現する新サイトを構想している。「109の魅力は、ファッションテナントと、舘で働くショップスタッフ。この魅力を表現することがEC売り上げ最大化につながる」(沢辺亮経営企画本部ICT戦略部シニアマネージャー)。
新サイトは、ECサイト、各館サイト、ニュースサイトを統合。ユーザーがサイトにアクセスする目的である「購入、売れ筋チェック、ニュース、来館」に統一サイトで応える。サイトの構造は、トップページを入り口に、EC、各館サイトページに誘導。その下層にショップページを設ける。ショップページは、新着商品情報、店舗スタッフコーディネート、ランキングなど旬の情報を掲載し、実店舗の魅力を伝える。商品をタップするとECページに誘導する。

ECでは、商品数、在庫量、取り扱いブランドを増やす。在庫量を拡大するためにテナントの自社ECと在庫連携し、立ち上がりは20ブランドから実施する。109出店テナントの自社ECを多く受諾しているAMSと組んで、在庫連携、画像共通化などを簡易・円滑に進める。

ショップスタッフ活用も特徴とする。スタッフコーディネート提案、店舗情報発信を強めるため、館内デジタル環境整備を進め、SNS勉強会、貢献度に応じたスタッフへのインセンティブ(報酬)付与制度などを設ける。「リアルの舘がECを活用して販売するハイブリッド型を目指したい」とする。新サイトは10月9日に立ち上げる予定。

 

続いてはWWDの記事をご紹介。

 

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SHIBUYA109がECサイトを10月に大幅リニューアル

“思いの連携”軸のオムニコマースへ

東急モールズデベロップメント(以下TMD)は10月、SHIBUYA109のECサイトを大幅リニューアルする。パートナーには、ストライプインターナショナル、ウィゴー、ジャパンイマジネーションなどの自社ECフルフィルメント支援を運営するAMSを選定。各館のオフィシャルサイトとECサイト、オウンドメディアを統合するなどの新しい試みをふんだんに取り込んだリニューアルには、どのような狙いがあるのか。リニューアルを牽引するキーパーソン3名に聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):今回のECサイトリニューアルの経緯は?

沢辺亮TMD ICT戦略部シニアマネジャー ( 以下、沢辺 ):SHIBUYA109のEC事業は2004年と比較的早い時期からスタートし、ブームの後押しもあって12年頃までは順調に成長できた。だがテナントの自社ECの立ち上げやスマー トフォンの普及などでデジタルの流れが変わり、そこに対応できていなかった。TMDとしてもSHIBUYA109事業全体を見直す中、 EC事業は撤退も含め抜本的に検討することになった。

WWD:いろんな改良パターンがあったと思うが特に重視したところは。

野田大介 ECコンサルタント ( 以下、野田 ):ECサイトで売り上げの実績だけを考えるなら、実は在庫をどれだけ確保できるかにかかっている。しかし相談を受けた時に、TMD側が真剣に撤退も視野に入れていると知り、本質的な “SHIBUYA109らしさ ”を徹底的に議論した。外部からするとSHIBUYA109の最大の強みはカリスマ店員を輩出してきた“人”。その部分をどうデジタルと絡め、ECサイトに生かしていくかを重視した。

WWD:AMSをパートナーに選んだが、その理由は?

沢辺:SHIBUYA109に出店しているテナントの自社ECを多く受託運用し、実績とノウハウがあったことが大きいが、 決め手になったのは、重要な在庫の問題を立ち上げ時から解決できるだけでなく、当社のターゲットであるデジタル・ネイティブ世代に対しての知見があったこと。

WWD:AMSから見たリニューアルのポイントは?

近悟 AMS事業推進本部運営管理部副部長 ( 以下、近 ):ECサイトの来訪ユーザーはコーディネートを閲覧する傾向が強く、当社のクライアントのECサイトでも、コーディネート経由の導線ログが一番多い。全国に発信力のある109スタッフコーディネートとECの連動は、ユーザーにとって非常に魅力的であり、SHIBUYA109らしいと感じた。僕らからすると最大のポイントは、ECサイトと館のオフィシャルサイトの統合、そしてオウンドメディアの「109ニュース」との連携を図ること。これはEC業界でもかなり画期的なことだ。SHIBUYA109やブランド 、商品に興味のある人まで、あらゆる導線をECにつなぎ込めるようになる。例えば2年前からデジタル・ネイティブ世代に向けて情報発信してきた「109ニュース」を活用すれば、これまでニュースとして見せるだけで終わりだった展示会レポートも、ECと連動させられれば先行予約会を実施できたりする。AMSのクライアントでもECですでに先行予約会で実績を上げている。

沢辺:展示会はどこも同じタイミングなので、1社だけでなく展示会特集という記事にして見せていくこともできるだろう。「109ニュース」自体は10社くらいの提携媒体がある。単にECサイトへユーザーを流すだけでなく、話題性のある記事を提携媒体に出すことによって、情報拡散もできる。

野田:例えばギャルが社長になるだけでもニュースになるように、それに近いことができると考えている。それほどSHIBUYA109という場所が持つ価値は高い。

WWD:そうなるとショップスタッフの活用も重要になるが。

沢辺:スタッフが活躍する場をリアルだけでなく、ウェブ上でもしっかり作りたいと思っている。今カリスマ店員はいないといわれるが、SNS上ではインフルエンサーレベルの影響力を持つ販売員は今でも多い。お互いにその立場を活用し合い、ファンを増やしていければよいと考えている。そのためSNSで使えるコーディネート画像はプロカメラマンに入ってもらい、毎週店頭で撮影を行うことも考えている。

:ECサイトに訪問する人の80%はコーディネート経由というケースもある。随時コーディネートを上げてもらうことは大切で、さらには商品へきちんとひもづけできればベストだ。

沢辺:写真とともにアップする内容やそれを書く時間も大切で 、SNS勉強会などを定期的に行う予定だ 。また、スタッフの接客以外に取られる業務時間を短縮するための環境整備をする必要もあると考えている。他にもECの売り上げをスタッフに還元できる仕組みを作り、スタッフのモチベーションにつながる施策もあればと考えている。

:店頭に在庫が無い場合、タブレットなどを使い店頭からウェブで買えるような仕組みもTMDと一緒に考えて行きたい。店頭の売り上げが減ることを危惧し、店舗スタッフはEC送客に消極的な傾向があるが、評価制度があれば店舗での売り上げと同様に積極的なEC誘導を行い 、小売事業体としての全体売り上げアップに直結するためだ。

WWD:テナントがECに取り組みやすくなるECシステムの新サービスプランを考えているとのことだが。

沢辺:人手や知識がないということで、ECに取り組めていないブランドが多い。こちらもSNSと同様に、力を入れたいがさまざまな事情でできていない会社が多かっ た 。 350以上のアパレルブランドのEC機能・サービス開発と実運用を提供してきたAMSをパートナーとしたことで、SHIBUYA109らしく、ECでもブランドのインキュべーション支援につながる動きができたのは大きな成果だ。

:売上規模は小さくてもEC事業拡大やオムニチャネル化を進めたいという相談はこれまでも少なくなかったが、やはり条件のすり合わせが難しく、こちらとしても歯がゆい気持ちがあった。今回のプロジェクトをベースに、弊社としても そういったブランド支援に取り組めたことは非常にありがたい。今回のプロジェクトでは、これまでやりたくてもできなかったことに取り組むいい機会になっている。

野田:ECやオムニチャネルコマースというと、便利さやシステムの効率性ばかりが注目されてきたが、本来は、店頭で重視されてきたショッピング体験のような、接客やこの人から買いたいという“思いの連携”だ。今回のリニューアルで、ECの新しい形を実現したいと思っている。

 

ボクらが考えるオムニチャネルは、会員連携でも在庫連携でもなく体験の共有!

これは常々言っていることなのですが、どうもオムニチャネルというと店頭とECで会員情報の連携や購入ロスを減らすか、というような「便利さ」と「刈り取り」に終始しているのが現状だと思う。

商品がある/ない。そういう世界でのお話。確かにそれも大事。でもその仕組みが導入しきったら、どうやってみんな独自化していくの?っていうのがボクの疑問であり腑に落ちない点でもあります。結局、便利さだけ求めたって、価格競争と同じでずっと便利競争に参入し続けねばならない。

でも買い物って効率だけじゃないじゃん。そういう買い物ならamazonでいいよ。この素晴らしいメンバーに恵まれた今回のプロジェクトで連携すべき内容として重視しているのは、商品やポイントではなく個が発信する接客やこの人から買いたいという想い

通販サイトは自動販売機じゃありません。109という圧倒的知名度を誇るプラットフォーム上にショップスタッフの方々が持つ影響力が加わることで、その発信内容に共感し「この人から・この人がオススメするから・この人が使ってるから」と「つながり」を持ちながら買っていただく。そういう想いが通じるような買い物体験こそが本当のオムニチャネルだと信じています。

10月9日のリニューアル、お楽しみに!